2009年総括

年末の社員旅行のバスの中で新型インフルエンザという巷で猛威を奮っているミーハーなものを発症してしまい、二日ほど40度の高熱にうなされるはめになった。

僕の平熱は35度6分と平均的な体温より少し低めなので、5度近くも体温が高い状態での年越しとなった。幸い近くの親切な病院が緊急扱いで応対してくれたおかげで発狂因子として有名なタミフルをゲットでき、その後はゆっくりと回復の途を辿ることができたわけだが、正直、高熱のせいなのか、はたまたタミフルのせいなのか、自分の頭がものすごく悪くなっていたことをようやく熱が下がった今、思い返すことができた。

凄まじい悪寒の中、ダウンジャケットを羽織り、コーデュロイのパンツの上にジャージをみっちりと履いてシミだらけの布団に潜り込んでギア2ばりに蒸気を発しながら寝込んでいると、喉の渇きで夜な夜な目を覚ます。 高熱の中、錯乱状態にあった僕の低価格な脳は、「喉」を「潤わせたい」という思考を上手に処理できず、「乾いた」唇に、リップクリームを塗って「潤わせる」ことで喉が潤ったと勘違いし、再び眠りにつくということを一日以上かけ延々繰り返していた。

「喉が乾く」と「水を飲む」という偶蹄類ですら生まれた時から本能として携えている感覚を、東京の夜に瞬くネオンのような潤い乾いた唇に乗せることでオールOK、大解決、だと思っていたのだ。

脱水症状で立ち上がることすらできず、朦朧とした意識の中、喉が乾く度に唇にシュッとリップを引く僕は、間違いなく師走で一番オシャレだったと思う。いつでもキスしてもらって良かったはずだ。歯は3日くらい磨いてなかったのでリップの持つミントの香りと、数日歯に詰まっていた天ぷらやら魚やらの香りが混ざり合い、かのアウシュビッツの毒ガス部屋でユダヤの民が鼻腔に記憶した香りを再現していたはずだ。

何度も意識を失ったのは、もしかすると自分の口内でケミストリーを起こした結果、自身がモルボル化したせいなだったのかもしれないが、唾液も枯果て、バクテリアが繁殖する自分の口の臭さをマスクでリフレクのように跳ね返らせて再度吸い込む様は、僕にとって間違いなく2009年最後のオシャレだった。

だからみんなも鏡を見たときに、富士そばで芋天をトッピングした奴特有のテラテラ唇を持った優秀なモルボルっぽいなと思ったら、すぐに便所で撮影した写真を履歴書に貼りつけて姉が勝手に送ったと言いながらジャニーズにそれを郵送すると良いかと思います。嵐のメンバーもきっとそれが始まりだったと思うよ。


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2010.01.04 Monday category:豚日記 comment:-
プロフィール
  • シモダ テツヤ
  • 株式会社バーグハンバーグバーグ代表取締役 兼 初代オモコロ編集長。タイの安宿でみんなが小便をするところを洗面所と間違えて毎日顔を洗っていたことがある。
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